大島紬の後継者育成事業について
2022/7/6
大島紬のさんちも近年、織工をはじめとする従事者の高齢化や後継者不足といった問題を抱えています。
当活動は、魅力ある大島紬を未来に残していくために行っており、今回はその背景や取り組みについて、お伝えさせていただきます。
~布に織り上げる方がいなければ、大島紬は消滅する~
さんちのつくりての組織である『つくりべの会』のメンバーとも連携し、織従事者の年齢構成も分析しつつ、「大島紬の生産工程の中で、最も育成が急務のセクションはどこか」をリサーチすることからはじめました。リサーチの結果、図案・締機・加工等の従事者の育成も急務ではあるものの、「最終ランナーである“織工”がいなくなれば大島紬は布にならない」ということから、『織工育成』を最優先事項とすることを決定しました。
~国・さんち・民間(・当法人)が結束し、事業としてスタート~
2015年に、≪さんち:鹿児島県本場大島紬協同組合連合会(=奄美・鹿児島の各組合)、藤絹織物株式会社≫、≪国:地元行政(鹿児島県、奄美市、龍郷町)≫、≪民間:株式会社やまと≫で垣根を超えた話し合いを重ね、「大島紬を未来に繋げていくためには、今動く必要がある」という考えのもと、奄美市、鹿児島市に織工養成所設立を決定しました。
~カルチャースクールではない、さんちの将来を担うプロの織工育成へ~
織工養成所の指導者の給与は、国と当法人で負担することとしました(年間各720万円)。
開校初年度は、両さんちでそれぞれ10名の方が入校しスタート。織工を目指して入校される皆さまに対し、鹿児島と奄美にそれぞれ2名ずつ専任の指導者を配置、2年間でプロの織工となることを目指して指導体制を整えました。
~5年間で約30名のプロとしての織工がデビュー~
開校した2018年以降、約60名の方が入校されています。
しかし、織工程とは大変根気のいる仕事であること、デリケートな手仕事であること、高い志が必要なこともあり、現在プロの織工として従事されている方は約30名(約50%)と険しい道のりです。それでも、当事業以外からの新規従事者はほとんど生まれていないのが実態です。当法人では引き続き、大島紬を未来に繋げていくために、同校の支援を行います。
≪当法人に、鹿児島県本場大島紬協同組合連合会より、感謝状をいただきました≫
当法人の目的や事業、主な活動は、下記URLよりご覧いただけます。
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